Kibelaのレイアウトが見づらいときのカスタマイズ法

KibelaはMarkdownベースで誰でも素早く書ける反面、書き手ごとに表記や構成がバラつくと「読みにくい」「どこに何があるか分からない」となりがちです。レイアウトは“機能”より“運用と設計”で大きく改善できます。本記事では、Kibelaの見え方を整え、読み手の負担を減らすための実務的なカスタマイズ手順を、テンプレート運用・Markdown設計・情報設計・視覚ルール・検索導線の5軸で解説します。
AIレーダーチャートによるKibelaの評価
まず押さえる前提:レイアウトは「統一」「省略」「再利用」
- 統一:見出しの深さ、用語、表記、色味や絵文字の使い方をチームで揃える
- 省略:本文に詰め込みすぎず、別記事に分割して相互リンク(関連記事)で繋ぐ
- 再利用:テンプレート・スニペット・パターンを共通化し、毎回ゼロから作らない
この3原則を守るだけで、読みやすさは大幅に改善します。
テンプレート運用で“迷い”を消す
基本テンプレートを用途別に3つ用意
- マニュアル用:目的、結論、手順、注意点、FAQ
- 議事録用:会議名、日時、参加者、決定事項、ToDo、メモ
- 共有・報告用:背景、結論、根拠、次のアクション、参考情報
テンプレートの先頭に「この記事の対象読者」「更新頻度」「最終更新日」「編集責任者」を置くと、読み手が迷いません。
セクション順の固定
見出し順が記事ごとに変わると、読み手は毎回“場所探し”を強いられます。テンプレートで見出しの順序を固定し、抜けや重複を防ぎます。
スニペット化で繰り返しを短縮
注意書き、免責、決定事項フォーマット、署名ブロックなどはスニペット化。貼るだけで整った見た目になります。
Markdown設計で“視線の流れ”を作る
見出しはh2までを主軸、h3は箇条書きの“章内小見出し”
- h2:章見出し(本文を俯瞰できるレベル)
- h3:手順や観点の並列化。h3の下は箇条書き中心に短く
見出しの深掘りは可読性を落とします。h4以降は極力使わない方が読みやすいです。
1段落は3〜5行、文は短く
長文はスマホで崩壊します。接続詞を減らし、1文40字前後を目安に調整。
箇条書きは“3〜7項目”でまとめる
項目が多い場合は小見出しを追加して分割。箇条書きの入れ子は1段に留めます。
表で比較、コードブロックで強調
手順・比較・設定値は表が最強です。設定ファイルやコマンドはコードブロックで等幅表示に。本文から視覚的に独立させ、拾い読みをしやすくします。
画像は「意味のあるキャプション」を必ず付ける
スクショは入れっぱなしにせず、何を示す画像かを1行で説明。画像が複数ある場合は「図1」「図2」と通し番号で参照します。
情報設計で“到達時間”を短くする
冒頭に要約カード
最初の3〜5行に「結論」「この文書でできること」「対象読者」「所要時間」を置く。読み手は読むべきか即判断できます。
目次はh2のみ表示
長文では目次が必須。h2だけを目次にすると、一覧性が上がり、スクロール量が減ります。
関連記事ブロックで“次の一歩”を提示
末尾に「次に読むべき記事」を3本だけ添える。多すぎると離脱を招きます。
役割別バージョンを分ける
同一記事で「管理者向け」「一般メンバー向け」を混在させると冗長化。役割ごとに記事を分けて相互リンクする方が読みやすいです。
視覚ルールで“ひと目で分かる”を仕込む
絵文字・記号の役割固定
- 重要事項:⚠
- 成果・結論:✅
- 手順:▶
- 補足:ℹ
意味がブレないように、チームで対応表を決めます。乱用は可読性を下げるので1見出しあたり1つまで。
命名規則で一覧を整える
タイトル先頭に種別を付けると一覧が劇的に見やすくなります。
例:[マニュアル]顧客情報の更新手順/[議事録]営業会議 2025-08-11
日付はISO形式で統一
2025-08-11のように西暦から。ソートと検索が安定します。
タグは“意味×対象”で2層設計
- 種別タグ:manual、minutes、report
- 対象タグ:sales、cs、dev
「manual+sales」の掛け合わせで一覧性と粒度が両立します。
スマホ前提の読みやすさ調整
2カラム表は避け、縦並びで
スマホでは横スクロールが発生しやすいので、表は列を絞るか、要点を箇条書きに落とす。
連続画像は3枚以内
通信量と視線移動を抑制。どうしても多い場合は章を分ける。
“ここだけ見ればOK”ボックスを各章頭に
各h2の直下に、その章の要点を2〜3行で置くと移動中でも拾い読みできます。
検索導線のカスタマイズ
検索されやすい語をタイトルと冒頭に
社内で使う呼称・略語・英語表記を併記。例:見積書(Quotation/見積/見積り)
タグ辞書のメンテ
四半期に一度、使っていないタグを整理し、同義タグを統合。記事末尾に「推奨タグ例」を置くと迷いません。
保存検索・ショートカットの共有
よく使う条件(例:manual+sales 更新日30日以内)を保存して、チームの“入口”を揃えます。
書式のミスを“構文チェック”で減らす
文体・語尾のガイド
です・ます調/だ・である調の混在を禁止。カタカナ語は言い換え表を用意。
品質チェックの簡易フロー
公開前チェックリストを記事末尾に残し、最終更新者がチェックを付ける。
例:見出し構造/目次/要約/画像キャプション/タグ/関連記事
長期保守を見据えたアーカイブ運用
見直し期限の明記
冒頭要約の末尾に「次回レビュー:2025-12」と記載。期限切れはアーカイブへ移動。
後方互換の確保
古い手順が必要なチーム向けに“旧版”を残し、現行版と相互リンク。タイトルで[旧版]を明示。
すぐ使える記事テンプレート例(抜粋)
記事タイトル
[種別]目的が一目で分かるタイトル(対象/版)
冒頭要約
- 結論
- 対象読者
- 所要時間/前提条件
- 最終更新日/次回レビュー/編集責任者
目次(h2のみ)
背景
なぜ存在する文書か。読者が得られる成果を1段落で。
手順・本編(h2)
章頭に“ここだけ見ればOK”。各h3は手順や観点で並列化。表・画像・コードブロックを適所に。
よくある質問(h2)
3〜5問に限定。リンクで深掘りへ誘導。
変更履歴(h2)
日付/変更点/編集者。最新が上。
関連記事(h2)
次に読むべき3本だけ。
チーム合意を作るための導入ステップ
週内
現状記事から代表的な3本をテンプレに載せ替え、ビフォーアフターを共有。
2週間以内
タグ辞書と命名規則を“最小構成”で運用開始。保存検索を配布。
1か月以内
全テンプレへの置き換え率を50%に。アーカイブ基準を稼働。
以降の定例
月1でタグ・テンプレを見直し、改善をリリースノート化。
よくある失敗と回避策
テンプレが細かすぎる
埋めるのが面倒で形骸化。最小入力で成立する設計に。
絵文字の乱用
意味が曖昧になる。対応表で役割固定、1見出し1個まで。
目次の過多
h3まで出すと視認性が落ちる。h2のみの目次で充分。
表の詰め込み
スマホで崩壊。列を厳選し、残りは箇条書きへ。
KPIで効果測定
- 探索時間の短縮(検索→目的到達までの平均時間)
- 記事の完読率(閲覧スクロール率)
- テンプレ適用率・タグ適合率
- 関連記事経由の回遊率
- 問い合わせ件数の減少
数値が改善すれば、レイアウト施策は正しい方向に進んでいます。
まとめ
- レイアウト改善は「統一」「省略」「再利用」が核
- テンプレートと命名規則で一覧性を整え、Markdown設計で視線誘導を作る
- 目次はh2のみ、段落短く、表・画像・コードで情報をブロック化
- タグ辞書・保存検索・関連記事で“目的到達時間”を短縮
- アーカイブとレビュー期限で長期保守を仕組み化
- KPIで効果を測り、月次で微調整
今日からできるのは、テンプレ配布・命名規則の導入・タグ辞書の最小セット化の3つです。まず“入口の統一”から始めれば、Kibelaの見え方はすぐに変わります。